死んでいった人の慰霊碑はあるのに、
どうして動物や植物の慰霊碑はないのだろうか。
この地上に生きとし生ける全てに命が一つずつ。
社会や国の様々な民族の文化や文明、考え方がある。
それら全ての混沌を、そして人々の怒りや悲しみを乗り越えて、私たちが成すべき事があります。
人に命が有るように、犬や猫の動物にも、そして樹々や草花の植物にも命は有るのです。
広島のそして日本の子ども達が健やかな心に育つために動植物の慰霊碑を広島の平和公園に建てることを思いついたのです。
There is a memorial monument for people that died as a result of the atomic bomb. Why are there none for animals and plants? There is life in each and every living thing.
We have a mission. Beyond the chaos of anger and despair. Beyond differences in society, nation, culture and thinking.
Dogs, cats, trees, flowers, and leaves all have lives just like men do. This is why I want to build a memorial monument for the plants and animals in the Hiroshima Peace Park, so the children in Hiroshima and all of Japan can grow up with warm hearts.
皆さんが住む町や村の自然の生き物達の代わりになってこの動植物慰霊碑を建てる活動に対してのメッセージを送って下さい。メッセージでも、詩でも、短いお話でも、どんな形でも構いません。
自分がもし原爆で死んでいった動物や植物だったらどんな気持ちだったのだろうか。又、そんな生き物達の仲間ならどんな風に思い続けているのだろうか。
長い旅の始まりは、皆さんがそんな生き物たちの気持ちになる事から始めたいと思います。
1999年8月6日
緒方俊平 おがたしゅんぺい
Please send messages on behalf of the wildlife living in your area toward this action to build a memorial monument for the plants and animals. The messages can be in any form. (e.g. poems, short stories, etc.)
Lets start this long journey by putting ourselves in the position of the animals and plants that were killed by the atomic bomb. How did they feel? How do their friends feel to date?
August 6, 1999
Shumpei Ogata
皆さんが住む町や村の動物や植物になってメッセージを送って下さい
【メッセージの受付は終了しています。】
皆さんが住む町や村の自然の生き物達の代わりになって
この動植物慰霊碑を建てる活動に対してのメッセージを送って下さい。
メッセージでも、詩でも、短いお話でも、どんな形でも構いません。
自分がもし原爆で死んでいった動物や植物だったらどんな気持ちだったのだろうか。
又、そんな生き物達の仲間ならどんな風に思い続けているのだろうか。
長い旅の始まりは、皆さんがそんな生き物たちの気持ちになる事から始めたいと思います。
1999年8月6日
緒方 俊平
私の回りの人々からのメッセージをいくつかご紹介します。
これからもみなさんのメッセージをご紹介していきたいと思います。
メッセージをお待ちしております。
朝だというのにみんなの額に汗がにじんでくる暑い暑い日でした。
クスの木の大きな枝に沢山のハトやカラスがとまって広場を見下ろしていました。
地上の広場では沢山の人々が集まって、原爆で死んでいった人々に語りかける平和を祈る集いが行われていました。
五四回目になる集いでした。
偉い人たちが、平和を誓ってスピーチをしたり、子ども達が平和の鐘をついたりして亡くなった人々の永遠の弔いをしています。
この広場は、平和公園と呼ばれています。
原爆で死んでいった子ども達や学校の先生達や様々な人々のためのお弔いの石碑が建てられた悲しい公園です。
八月六日は、この広島に原爆が投下された日なので、日本からも世界中からも沢山の人々が集まって、戦争をしてしまったことを反省します。
そして、原子爆弾が落ちたことによって死んでいった全ての人間に
「もう二度と戦争はしませんので、どうか安らかに眠って下さい。」
と平和の約束を繰り返すのです。
この公園の真上で、五四年前の八月六日八時一五分に世界で最初の原子爆弾が破裂したのです。
そのことを忘れてしまった人々も沢山いますが、ここに集まった人たちは決してそれを忘れていません。
クスの木の枝に止まつているカラスとハトが小さな声で語り合っていました。
「今年もまた忘れられたなあ。」とカラスがつぶやきました。
「五四年も過ぎたのに人間はまだ気がつかないのねえ。」とハトもつぶやきました。
「いつになったら、私達の仲間が沢山死んでいったことを想い出してくれるのかしら。」と下の枝のハトが言いました。
「そうだ、人間は勝手に戦争をして、勝手に反省会をして、きっとまた勝手にもつと大きい戦争をするんじやないの。」と一番上でじっと広場を見ていたカラスがつぶやいていました。
川辺には夾竹桃という樹が沢山生きています。
広島の夏に毎年白や赤の花を咲かせて風に揺らいでいます。
彼女達は昔々原爆に焼かれた植物の中で、一番はじめに蘇って花を咲かせました。
原爆の後七○年間は草も木も生えてこないと言われたのに、夾竹桃はすぐに生き返って焼け野原のような街の中に白い花赤い花をつけて、ずいぶん沢山の傷ついた人々を励ましたのです。
夾竹桃が語っていました。
「私達は、あのワンちやん達を忘れていないよ。」 と。
「それはどういうことなの?」と子どものハトが枝の上からたずねました。
「五四年前の八月六日の朝、原子爆弾がピカッと光って、ドーンと大きな音がして、沢山の生き物が「あっ」と叫ぶ間もなく死んだけど、私達も焼かれて、皮もただれて、そのまま死んでゆくとこだったのよ。
のどが渇いて水が欲しかったの。
その時、沢山の焼けただれたワンちやん達がこの元安川の川辺に水を飲みに集まってきたの。
「のどが渇いた。水をくれ。」
「のどが渇いた。水をくれ。」と叫んで、人間達だけでなく犬も猫もハトもスズメも焼けただれてさまよいながらみんなヨタヨタと川辺に集 まったの。
私達は根っこがあるから、少しだけでも水をもらえば何とか生き延びれると思ったけど、歩けないからそのまま立ちつくして焼けてゆき死んでしまうしかなかったの。
その時、一匹の大きな犬がこう言ったの。
「僕達はもう死ぬだろう。だけど、最後の力を出して、夾竹桃さんの根元に水を運んであげよう。」
そうして川にはいつて行き、沢山の水を毛にしみ込ませて、私達の根っこのところでブルブルと身体を震わせて水をかけてくれたのよ。ヨタヨタしながら、沢山の犬達が何度も何度も川辺から一本一 本の木々の根元に水をかけてくれたわ。
焼けただれた犬達のおかげで私達は蘇ったの。
一度しか水をかけられず死んでしまった小犬もいたわ。
倒れても、倒れても立ち上がって根元に水を運んでくれた犬もいたわ。私達の根元まで来て息絶えた犬達が多かったわ。
最後にみんなこう言っていたわ。
「自分達の分まで生きて、生きて、生き抜いてくれ。自分達は死んでゆくけど、夾竹桃に抱かれてこの生命を繋げられたような気がする。さあ、ボクを抱きしめてくれ。そしていつの日か動物や植物が泣かなくてもすむような世の中になるといいね。」そうつぶやきながら、あっちでも、こっちでも犬達が川辺で毛に水をしみ込ませ、何度も何度も根元に水を与えてくれたのでした。
累々とした犬達の屍が根元のあちこちに横たわった頃、黒い黒い放射能の雨が降りはじめたのよ。
そこまで一気にしやべると、夾竹桃達はワナワナと震えて泣きはじめました。
それを聞いていたハトもカラスもみんな泣きました。
しかし、その泣き声は、平和の集まりをしている人間達には聞こえませんでした。
五四年間でその声を間いてくれた人はまだわずかでした。
だから、動物も植物も魚達もみんな、またいつ自分達が犠牲になるのか分からないとおびえています。
広島の夏に咲く夾竹桃と沢山のワンちやん達の話やハトやカラスの泣く声を平和公園に来てみたらあなたも聞くことが出来るかもしれませんね。
ありがとう。
©1999 shumpei OGATA